上画像は大国主命の像(島根県出雲大社内にて撮影)
高齢者講座の復習 古事記 上巻
日本の古代史41 神話上① (古事記上巻)
創生の神々・イザナギとイザナミ
順 | 内容 | テキスト資料NO | あらすじ・特記 |
1 |
創世の神々 ❶五柱の別天ツ神 |
1 | 天と地が分かれた時、天(高天原)での単独の神で姿をみせることはなかった |
❷神代七代 | 2 |
国(葦原中つ国)を支配する神が生まれた、最初の二神は単独神で各一代 で、次の十神はそれぞれ男女二神を合わせて一代で、最後の七代がイザナギとイザナミの神である |
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2 |
イザナギとイザナミ ❶オノゴロ島の聖婚 |
3~4 |
最初の子は「蛭子」(不具児)、次は「淡島」(淡路島とは違う)を生むがいずれも 不具児
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❷国生み |
5~6 |
淡路島→四国→隠岐の島→九州→壱岐の島→対馬→佐渡島→本州(大倭豊秋津島) の順で生み計14島を生んだ ※古事記と日本書紀は国生みの順番が違う 日本書紀では本州を最初とした←八世紀の国際向けのためか ※淡路島は「吾恥」がなまって「淡路」となった説がある
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❸神生み |
7~10 |
イザナギとイザナミの生きているとき生んだ神はオオゲツヒメ(五穀を生む女神) 含めて35神、イザナミは火の神(ヒノカグツチの神)を生んだことが原因でお亡くなりになる |
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➍イザナミの死とヒノカグツチの神 | 11~12 |
イザナギは、イザナミを出雲と伯耆の国境の「比婆の山」に埋葬し、怒ってヒノカグツチの神の首をはねる、聖なる岩に血がほとばしり御剣の神等の神々が生まれる |
テキスト資料
日本の古代史42 神話上② (古事記上巻)
イザナギとイザナミ、天照大御神とスサノオ
古事記の世界観
順 | 内容 | テキスト資料NO | あらすじ・特記 |
2 |
❺イザナギ命の黄泉の国訪問
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13~15 |
あらすじは下記テキストを拡大しご覧ください ※❶ギリシャ神話の「オルフェ」の話とにている ❷黄泉の国とは「古墳の内部説」や「もがりの宮(喪屋・死体安置)説」が ある、根の国ともいう ❸古事記想定の黄泉の国は「黄泉比良坂」「出雲国・伊武夜(イフヤ)坂」 で現在の島根県松江市東出雲町揖屋町の揖夜神社 ➍八の雷神 ⑴大雷 中心になる雷 ⑵火雷 稲光 ⑶黒雷 かみなり雲 ̪⑷折雷 ものをさく ⑸若雷 大雷の対語 ⑹土雷 地面をさく ⑺鳴雷 雷鳴 ⑻伏雷 人を地に伏せさせる ❺「事戸(ことど)」とは「最後の別れの言葉の意味」 |
❻イザナギノ命の禊 |
16~18 |
身につけたものを脱ぎ棄て12柱の神が生まれる 御冠からアキグイノウシの神(良い神様である)等 身体の穢れを禊で洗い清め10柱のの神が生まれる 左目からアマテラス 右目からツキヨミ 鼻からスサノオ の三貴神が生まれる |
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➐三貴神の文治 | 19 |
スサノオの「知らせ(治めなさいという意味)」 アマテラスは高天原 ツキヨミは夜の食国 スサノオは海原
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❽スサノオの啼きいさち | 20 |
スサノオは泣き騒いで委任された国を治めず母のいる根の国にイザナギに申し入れたが怒りにふれ「神やらひ」(高天原から追放)された なお、イザナミは「淡海(近江、滋賀県)」の多賀神社に鎮座している |
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3 |
アマテラス大神とスサノオの命 ❶スサノオの昇天 |
21~22 |
スサノオは事の次第を姉のアマテラスに報告後、根の国に行こうと天に昇って行ったが山や川が「動み(とよみ)」=「地震の意味」したため高天原を奪いにやってきたのではとアマテラスは思い戦闘態勢をとって待ち受けた。スサノオは姉に私心がないことの証明するため各々が子を産むことの賭で誓約を提案した |
❷二神の誓約
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23~24 |
アマテラス(5柱の男の神)、スサノオ(3柱の女の神)の二神の賭は誓約どおりとなった |
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❸スサノオの勝さび |
25
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スサノオは「手弱女(てわやめ)=かよわい女の意味」を自分が産んだことは誓約の結果自分が勝ったと申し、荒々しい振る舞いをするようになり、ついには機織女を死に至らしめる事件を起こした
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テキスト資料
現地探訪画像
❶黄泉比良坂(島根県松江市東出雲町) 2014年(平成26 年)7月1日撮影
❷揖夜神社(島根県松江市東出雲町揖屋) 2014年(平成26 年)7月1日撮影
参考 ❶日本の神とキリスト教との神の違い」について
日本の神 | 全て自然物に神が宿る |
八百万の神 |
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人間が自然と寄り添って生きる | |
自然に対して恐れ敬う日本人 | |
キリスト教の神 | 神は自然、人間などすべて造った |
神の造物主である |
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唯一絶対の神 | |
神に背けば地獄へ落ちる |
❷ 日本の神の誕生
日本の神 | 古事記 | 日本書紀 |
宇宙混沌(天地定まらず) ↓ |
||
天地初発(初めから天地あり) ↓ |
天地開闢(中国風の陰陽思想) | |
神々の誕生 ↓ |
神々の誕生 ↓ |
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人の世界へ | 人の世界へ |
❸ 神による天地創造(キリスト教の旧約聖書)
第一日目 | 神は | 光をつくった |
第二日目 | 〃 | 空をつくった |
第三日目 | 〃 | 海と陸と植物をつくった |
第四日目 | 〃 | 太陽・月・星をつくった |
第五日目 | 〃 | 海と空に生き物をつくった |
第六日目 | 〃 | 動物と人をつくった |
第七日目 | 〃 | 神は休まれた |
➍エデンの園
神はアダム(男)とイブ(女)をつくった、アダムとイブはエデンの園に住んだ
アダムとイブは禁断の実(快楽)を食べた そのためエデンの園から追放される
日本の古代史43 神話上➂ (古事記上巻)
スサノオの大蛇退治
順 | 内容 | テキスト資料NO | あらすじ・特記 |
➍天の岩屋戸ごもり | 26~27 |
アマテラスはスサノオのこの事件を見て恐ろしくなり天の岩屋にこもった。閉じこもってでてこないのでアメノウズメの命が神々の笑を誘いアメノタチカラオノカミが天の岩戸からアマテラスを出す。この後、高天原も葦原中国も日が照り明るくなる。 |
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❺スサノオの追放と五穀の起源 |
28 |
あまたの神々は相談のうえ、スサノオを高天原から追放する。 スサノオはオオゲツヒメが身体から取り出し料理したの仕業をみて殺してしまう。 遺体の頭から蚕、二つの目から稲種、二つの耳から粟、鼻から小豆、陰部から麦、尻から大豆が生まれ五穀の起源となった
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4 |
スサノオの大蛇退治 ❶八俣の大蛇 |
29 |
スサノオが高天原から追放され出雲国の斐伊川上流の鳥上へ降りる 足名椎命と手名椎命と娘クシナダヒメと出会い高志の八俣大蛇の話を聞く
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❷草薙の剣 | 30~31 |
スサノオはクシナダヒメをもらい受けることで、酒に酔わせて八岐大蛇を退治した 大蛇の尾からよく切れる太刀「草薙の剣」をとりだしてアマテラスにこれを献上した |
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❸須我の宮 |
32~33 |
現在の島根県雲南市須我神社を新婚の地とした スサノオは須我というところに到着し「こころがすがすがしくなった」として日本初の宮をつくった 「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣に」とスサノオが詠んだ歌は有名で和歌発祥の神社としても有名である 次に登場するオオクニヌシノミコトはスサノオとクシナダヒメの6代目と言われている |
テキスト資料
現地探訪画像
須我神社(島根県雲南市) 2014年(平成26 年)7月1日撮影
日本の古代史44 神話上➃ (古事記上巻)
大国主の事績
順 | 内容 | テキスト資料NO | あらすじ・特記 |
5 | 大国主命の事績 |
大国主神命には兄弟の神たちがいたがみな自分の国を治めるのを辞退し大国主神に譲った 、理由は以下のとおり |
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❶因幡の素兔 |
35 |
兄弟の神々は因幡の八上比売に求婚しようとオオナムジ(大国主命)を従者として袋を担がせ 因幡へ行ったとき、オオナムジは皮をはがれた白うさぎと出会い彼のアドバイスにより体を 元どおりにしたため兔より八上比売を妻としてめとることが出来るといわれる ※話の舞台は現在の鳥取県白兎海岸・白兎神社 |
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❷大国主命の受難 | 36 |
八上比売がオオナムジと結婚すると言ったため兄弟の神々は怒って猪に似た焼石で彼を死に 至らしめる、母の刺国若比売は泣き悲しみ高天原の神産巣日神の指図を仰いで二人の比売を 派遣してもらい、赤貝と蛤での治療の結果、復活してオオムナジは立派な男として出歩くよ うになった
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❸根国行き | 37~40 |
兄弟の神々は再びだまし討ちにして殺したが母神が生き返らせ紀伊国の大屋昆古神へ行かせ たものの兄弟の神々が追ってきて彼を引き渡すように要求したのでスサノオのいる根国に逃 がさせた そして、そこでスサノオの娘のスセリヒメと結婚したがスサノオは「アシハラノシコオ」と 娘に言い、蛇の室・ムカデと蜂の室や野原での火の試練を強いたが妻の助けもあり、生太刀 と生弓矢等を持ち出し根国を脱出した この時、スサノオは彼に「兄弟の神々を追い払い、大国主神となって、娘を正妻として、壮大 な神殿(出雲大社のこと)を造り住め」と言われ、彼は国づくりをはじめることとした なお、因幡の八上比売は結婚したもののスセリヒメを恐れて子ずれで因幡へ帰って行った
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➍沼河比売への求婚 |
41~42 |
越の国(富山県)に賢くて麗しい女がいると聞き求婚しようと出かけ、彼(八矛神)がその沼河比売 に求婚したときの歌とその彼女からの返歌 |
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❺ スセリヒメの嫉妬 |
43~44 |
八矛神がスセリヒメの嫉妬に困り果てて出雲から大和へ行くとき、彼女へ歌った歌と彼女から の返歌(自分が正妻であると彼女は強調している)
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❻ 大国主神の子孫 |
45~46 |
下欄のテキスト資料45の系譜参照 |
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❼ 少名昆古那神と御諸山の神 |
47~48 |
スクナビコナが出雲の美保にやってきてオオクニヌシは葦原中国を一緒につくり固めたものの、彼が常世の国に去ってしまい悩む、その時オオクニヌシ自身の幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)が「自分を倭の国の東の山(御諸山、三輪山のこと)にまつれ」といわれそこに彼は神として座 した |
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❽ 大年神の系譜 |
49~50 |
下欄のテキスト資料49~50解釈資料参照
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テキスト資料
現地探訪画像
出雲大社(島根県出雲市大社町) 2014年(平成26 年)7月1日撮影
参考 オオクニヌシの別名と名前の意味
1 | オオナムジ | 偉大なる鉱穴の貴人 |
2
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アシハラノシコオ | 現実の国にいる醜い男 |
3 | ヤチホコ | 矛をたくさんもつ男 |
4 | ウツシクニタマ | 現実の国土の精霊 |
5 | オホモノヌシ | 偉大なる精霊の主 |
6 | オホクニヌシ | 偉大なる国土の精霊 |
日本の古代史45 神話上➄ (古事記上巻)
三輪山の神
順 | 内容 | テキスト資料NO | あらすじ・特記 |
三輪山の神を祭る | 1~2 |
崇神天皇の御世、疫病で人民が死に絶えようとした。オオモノヌシ(オオクニヌシ)が 天皇の御夢に現れて「子孫のオホタタネコを探して祀らせればたたりも起こらなくなる 」と神託を下され、河内で探し出しそのとおりして国家は平安になった |
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三輪山伝説 |
3~4 |
オホタタネコを神の子と知ったわけが記載 イクタタマヨリヒメが身ごもった相手の男性の素性を確認するため男の着物に麻糸をつけ翌朝糸をたよりに尋ねていくと三輪山の杜でおわっておりオホタタネコがオオモノヌシの子孫とわかった |
テキスト資料
古事記
1 2 3 4
参考 日本書記 崇神天皇紀
崇神天皇紀 | 倭トトヒモモソ姫 | 1~2 |
彼女は崇神天皇の姑である オオモノヌシと結婚したものの、彼は昼現れず夜だけ出現した 約束して早朝に姫命櫛笥に入った彼を見つけると美しい小蛇になっていたので 驚き突然座ると箸が陰部に突き刺さって急に亡くなった、遺体は箸墓に埋葬 ※彼女は卑弥呼で「卑弥呼の墓」という説がある |
テキスト資料
古代史同好会での講義風景
現地探訪画像
大神神社(奈良県) 2015年(平成27 年)10月1日撮影
日本の古代史45 神話下① (古事記上巻)
葦原中国のことむけ
順 | 内容 | 下記テキスト | あらすじ・特記 |
1 | アメノホヒノカミの派遣 | 1 |
❶天照は天之忍穂耳命に葦原中国(水穂国)を統治を委任したが、 彼は高天原から降りる際、天の浮橋から下界を眺めると騒が しかったので戻って天照に今後の指示をあおいだ ❷天照は神々を集め思金神が平定のため今後の対策として天照 の次男の 「アメノホヒノカミの派遣」を提案し天照は受け 入れて派遣した ❸しかし、天照の次男のアメノホヒノカミは派遣されたものの 大国主に媚び へつらって三年たっても帰ってこなかった |
2 | アメノワカヒコの派遣 | 2~5 |
❶そこで思金神は「天津国のアメノワカヒコ」の派遣を提案し 天照は受け入れて弓と矢を与え派遣した ❷しかし、アメノワカヒコは大国主の娘の下照比売を娶りその 国を取ろうと八年になるまで戻らなかった ❸このため葦原中国にとどまっている彼の理由を聞くための使 者として雉の鳴女(ナキメ)」が命じられた ➍鳴女は命じられたことをつたえたもののアメノサグメが「鳥 の鳴く声が不吉なため射殺すこと」を進言したためアメノワ カヒコから天照から賜った弓矢で射殺された ❺矢は天照と高木神のところまで貫き上げられ届いたが、下界 へなげ返えされるとアメノワカヒコは朝に寝床で矢にあたっ て死んでいた ❻アメノワカヒコの妻の下照比売の泣け叫びは高天原の父天津 国玉神と妻子まで届いたため彼らは喪屋をつくって八日八晩 弔った、下照比売の兄も参加していたがアメノワカヒコとよく にていたため兄を死人と勘違いした ➐兄は死人に見立たれたことに立腹し剣をぬき喪屋を切り倒し 足で蹴飛ばした |
3 | タケミカズチノオノ神の派遣 | 6 |
❶葦原中国の派遣が再度不成功であったため思金神らは「伊都 之尾羽張神」か、その子の「タケミカズチノオノ神」の派遣 を天照に進言 ❷伊都之尾羽張神は子を使者とすることで推挙したため天照は 天鳥船神を添えて派遣する |
4 | コトシロヌシの服従 | 7 |
❶タケミカズチノオノ神と天鳥船神は出雲国の伊那佐の小浜へ 天降りする ❷大国主命に葦原中国は天照の御子が治めるべき国であると意 思を問いただしたが彼の長男であるコトシロヌシが答えると 返事した ❸このため、美保にいるコトシロヌシに問いただすと天照の御 子に国譲りすることを承認した |
5 | タケミナカタの服従 | 8 |
❶大国主神の子で国譲りに異論を唱える者がいるかと尋ねた ところタケミナカタしかいないとのことであったため彼と 「力比べ」で決着をつけることとした ❷結果はタケミナカタが負けて信濃の諏訪湖まで逃げたが追 い詰めて服従の誓いをさせた |
6 | 大国主命の国譲り | 9~10 |
❶タケミカズチノオノ神は再び出雲に戻り大国主との間で服 従と国譲りを確認した ❷この時、大国主は地上の統治権を譲る代わりに出雲に立派な 宮殿の造営を要請し高天原は実行した←祭儀権はゆずらない としているのでは ❸タケミカズチノオノ神は高天原に戻って葦原中国の国譲りと 平定した状況を復命する |
テキスト資料
現地探訪画像
主祭神タケミカヅチの鹿島神宮(茨城県鹿島市) 2019年(令和元年)5月22日撮影
現地探訪画像
出雲大社(島根県出雲市大社町) 2014年(平成26 年)7月1日撮影
日本の古代史46 神話下② (古事記上巻)
天孫邇邇芸命(ニニギノミコト)
順 | 内容 | 下記テキスト | あらすじ・特記 |
1 | 邇邇芸命の出生と降臨の神勅 | 11 |
❶天照と高木神は最初は天忍穂耳命に、葦原中国が平定したの で天下りして治めよと命じた ❷天忍穂耳命は準備中に邇邇芸命がうまれたので、その子が治 めることを進言したため邇邇芸命へ神勅が下される |
2 | 猿田毘古神の先導 | 12 |
❶邇邇芸命が天降りするとき上の高天原と下の葦原中国を照す 神がいたため天照と高木神はアメノウズメの神に命じてその 神を尋ねさせた ❷その神は猿田毘古神といい天降りされるため導するため迎え に参ったとのことであった |
3 | 天孫の降臨 | 13~14 |
❶邇邇芸命は五つの部曲( かきべ)の族長を従者に加え天降りする ❷その際、三種の神宝(八尺の勾玉、鏡、草薙剣)と三つの神を副 えさせた ❸こうして、筑紫の日向の高千穂のクジフルに天降りされた |
4 | アメノウズメの命と猿田毘古神 | 15~16 |
❶邇邇芸命はアメノウズメの命に「猿田毘古神を伊勢にお送りし 彼の名を継いで仕えなさい」と仰せになり彼女は毘古神の名を継 ぎ、女の子孫は猿女君と呼ぶようになった ❷猿田毘古神は伊勢の松坂にいる時、漁をしてひら貝に手をはさま れて海水に溺れられ三柱の神が生まれた ❸アメノウズメの命は伊勢の国に帰り着くと大小様々な魚を集めて 天津神の御子に「御饌料」(みけしろ)としてお仕え申すかと問い ただしたがナマコだけは何も言わなかったので紐小刀で口を裂い てしまった、これにより、今に至るまでナマコの口は裂けている こうして、歴代志摩からの初物の「みけしろ」を朝廷に寄進する とき彼女たちに下されるのである |
5 | コノハナサクヤヒメとの聖婚 |
27~29 |
❶邇邇芸命は笠沙岬(鹿児島県)で大山津見神の「美しい妹のほうの 娘のコノハナサクヤヒメ」と出会い、結婚を所望し使者を遣わせ たところ大山津見神は「姉の醜い容貌のイシナガヒメ」の二人と たくさんの結納品を 持たせ差し上げた ❷しかし、邇邇芸命は姉を親元に送り返し、妹だけを留めおき一夜 の交じりをされた ❸大山津見神は二人を差し上げた理由を述べ、イシナガヒメを戻し コノハナサクヤヒメのみをとどめたことは天津神の御子の寿命が 木の花のようにただはかなくていらっしゃると申しおくった、 従って、歴代の天皇の寿命は長くないのである ➍コノハナサクヤヒメは身重になり出産の指示をあおぐが邇邇芸命 は一夜の交じりのため自分の子でなく国津神の子と仰せになる ❺彼女は国津神の子であれば出産時は無事でなく、天津神の子であ れば無事に生まれると誓生の言葉を申して出入り口のない産屋を つくり中に立てこもりそれを土で塗り塞いだ ❻出産時になると火を産殿につけて三柱を生んだ 火照命 ホデリノミコト (隼人の阿多君の祖先) 火須勢理命 ホスセリノミコト 火遠理命 ホオリノミコト |
テキスト資料
現地探訪画像
笠沙岬(鹿児島県) 2019年(令和元年)10月17日撮影
現地探訪画像
高千穂河原・古宮跡・霧島神宮(鹿児島県) 2019年(令和元年)10月18日撮影
日本の古代史47 神話下➂ (古事記上巻)
火遠理命(ホオリノミコト)
順 | 内容 | テキスト | あらすじ・特記 |
1 | 海幸・山幸 | 17 |
❶ホデリノミコト(兄の海幸)とホオリノミコト(弟の山彦)との話である ❷弟は獲物をとる道具の交換を所望し、兄は許さなかったが、幾度も のたのみで換えることが出来た ❸弟は魚を獲る道具で魚を釣るが一匹も獲れずおまけに釣り針を海の中 になくした ➍返還するときに、兄になくしたことをいうと兄は強引に返せと責めた ❺弟は剣を壊し釣り針を500本作り弁償したり、更に1000本作って弁 償しようとしても失くしたもとの針を返せとのことで受け取らなかった |
2 | 海宮訪問 | 18~20 |
❶弟は泣き悲しんで海辺にいるとき、海を司るシヲツモノカミがやって 来て理由を聞き良い策を献じようといって、「竹で固く編んだ小舟 をつくり、その舟に弟をのせ、綿津見の宮に着いたら、門のかたわ らにある泉のほとりの神聖な桂の木に登っていれば、海の神の娘が 相談に乗ってくれるでしょう」と教えた ❷教えに従って行くと、そのとおりで桂の木に登っていると、侍女が 水くみにきて、彼が水が欲しいと所望したため侍女は立派な器にい れて差し出した。彼は水は飲まず彼の首飾りの玉をその立派な器に 吐き玉がくっついたままとなったため、侍女は海の神の娘のトヨタ マヒメにさし上げた ❸トヨタマヒメは侍女に外にだれかいるのではと尋ねて事のいきさつ を聞くと、外へ出て木の上の彼を見ると、容姿に惚れ惚れして海の 神に申し上げると海の神自らが門の外へ出て、宮殿の中へホオリノ ミコトをお連れした ➍そして、ホオリノミコトは歓待を受け、海の神の娘を娶り3年になる まで一緒に過ごした。 |
3 | 火照命(ホデリノミコト) の服従 | 21~23 |
❶ホオリノミコトは釣り針のことを思い出し、ため息ばかりつくよう になった、トヨタマヒメは父の海の神に相談し、父はホオリノミコト に理由を尋ねたところ、事のいきさつを話してくれた ❷話を聞いた海の神は海のすべての大小の魚を集め釣り針をとって いる魚を探すと、喉に刺さっている赤鯛があり、釣り針を取り出し て洗い清めてホオリノミコトに差し上げた ❸その際、綿津見神は「その釣り針をお返しになる際は後向きになって 呪文を唱えなさい、また田をつくるときは兄君の反対をつくりなさい 、そうすれば兄君は3年の間に貧しくなるでしょう」と「それでも、 兄が恨んで攻め立ち向かってくるならば塩盈珠で、泣いて許しを乞う なら塩乾珠で活かせ」と教えて合わせて二個の珠を授けた、そして すべての鯛の中から一尋鰐が葦原中国へホオリノミコトを送った ➍ホオリノミコトは海の神の教えたとおり行い、兄は悩み苦しみ頭を 下げ哀願し服従した |
4 | ウガヤフキアエズノミコト | 24~26 |
❶トヨタマヒメは夫のホオリノミコトがいる葦原中国に出向き、出産 の時期になったので天津神の御子は海原で生むべきでないとし、海 辺の波打ちぎわの鵜の羽を材料にした屋根を、まだ葺き終わらない 時期に産屋に入られた、その際彼女は本国の姿になって生むために 「決して私の姿を見ないで」と申し上げた ❷不思議に思ったホオリノミコトは出産の様子をのぞき見すると八尋 もある大鰐に姿を変えてはいのたうちまわっていたので、この有様 をみて驚き恐れをなして逃げ出した ❸トヨタマヒメは、彼がのぞき見したことを知り恥ずかしいことだ と思い、御子を生んだ後、心外だと申し上げて葦原中国と海神の国 の境をふさいで海神の国へ帰って行った ➍その後、トヨタマヒメはのぞき見を恨んではいたが夫恋しさに御子 を育てる理由にすがって彼女の妹のタマヨリヒメに託し歌を差し上 げた ❺この時生まれたウガヤフキアエズノミコトは叔母にあたるタマヨリ ヒメと結婚し四つの柱をお作りになった ⑴五瀬命 ⑵稲氷命 亡き母の国の海神の宮の海原へ ⑶御毛沼命 常世の国へ ⑷若御毛沼命 別名 豊御毛沼命 カムヤマトイワレヒコ 神武天皇のこと |
テキスト資料
現地探訪画像
山幸を祀る神社 青島神社(宮崎県) 2019年(令和元年)10月19日撮影
現地探訪画像
浦島太郎を祀る神社 青島神社(宮崎県) 2019年(令和元年)10月19日撮影
現地探訪画像
海幸を祀る 潮嶽神社(宮崎県日南市) 2019年(令和元年)10月19日撮影
現地探訪画像
トヨタマヒメを祀る神社(鹿児島県) 2019年(令和元年)10月17日撮影
日本の古代史48 (古事記上巻)
神話 下 ➃ まとめ
古事記上巻 あわせて序
順 | 内容 | 下記資料NO |
1 | 古代への回顧 | 1~2 |
2 |
天武天皇と「古事記」撰録の企て |
3~4 |
3 |
元明天皇と「古事記」の完成 |
5~7 |
古事記「序文」の古代への回顧の中に出てくる難解な言葉の解説